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2014年03月

EI ブログ



2014.02.16 15:36

Do it ourself

これは2006年に家族で土塀を再生した記録です。


土塀を造ろう
 
8年前(1998年)の6月に梅雨の長雨に耐え切れず敷地の東側の土塀の一部が倒壊。
倒れた当初はすぐ直そうと思いつつ。
いつの間にか8年の歳月が。壊れた土はそのまま倒れた位置に。
草が生え四季の花も咲き乱れるように。
あの年は梅雨電線が停滞し、毎日雨、雨、ちょうど、シンガポールから息子の友人
が2人遊びに来ていて2週間家に滞在したが晴れたのは2日だけ。
関西の見学を終え東京にいくという二人を見送り、家族でお茶を飲んでいたら
「どーん」とものすごい音。
5mほどの巾で1.7m高さの土塀が倒れ、土の隗が横たわっていた。
我が家は1830年頃の大和棟の民家で170年の歴史を持つ。だから、土塀もその年齢である。
すこし傾いていたことは分かっていたが、まさかこの雨で倒れるとは、
思ってもいなかったので、衝撃は大きかった。
土と石、瓦の塊を前に雨が無情に降り続いている中皆立ち尽くすだけ。
土塀なんか造ってくれる人いるかな?  
 
「自分達でやろうか、」2006年の春
日々の忙しさに追われ土塀の事はおあづけに。
倒壊を見届けた息子達も独立し家を離れ社会人に。
庭の風景となった小山であるが時々帰ってきてここに立つと息子たちには壊れた
塀にしか見えないらしい。
「そろそろ本気で直さないと。」人に頼めばお金がかかりそう。
自分たちで出来るのかという不安も。でも土塀を造るって楽しそう。
土塀再生への雰囲気が今まで以上に強まり出す。

土塀造り開始 2006年5月1日月曜日
「連休、僕も時間あるから、塀造ろう。」と息子から電話。
「造ろう!」と返事をしてしまった。
「造るんかよ、、、」と主人。
こうして、連休の朝から工事が開始した。暖かい!初夏のような天気。
① 草刈
② 8年の間に積み重なった土を取り除き、土塀の土に戻るまで山を削る。
土塀の土は粘土質の土が良いため田んぼの土などが使われる。
③ 主家の屋根裏から藁を6束下ろす。(かなり昔の藁で、こんな時に役立ちます。)
④ 土の山の真ん中にくぼみを作り水と10㎝程に切った藁を入れる。良くこねる。
  この作業が体力を要する。切った藁を入れるのは乾燥したときにひびが入らないようにする為。
⑤ 少し置き、藁と土、水が混ざったところで土まんじゅを作り、並べて乾燥させる。
100個位並べ、少し水分が蒸発した所で、厚み12cm巾15cm長さ20m程に固め乾かす。 
今日は土まんじゅう造り。明日の為の土をこねておく。
⑥ 塀の足元の石積みが土に埋まっていたので、土を除いて石を出し、溝を造って排水を良くする。
⑦ 東側の隣家との境の溝も掃除する。
  長年のゴミも回収され気持ちよくなる。決断に乾杯と言いたくなる気分。
 
  

基礎造り  5月2日火曜日
昨日と打って変わって風の強い冬の様な天気。
足元に大きな石を並べ基礎を固める。
基礎の上にどろどろの土を載せ土まんじゅうを並べる。間は石と泥で満たす。
土まんじゅう2段を積む。作業の後土まんじゅうを作っておく。
土塀は一番下で40㎝の厚みがあるので2列に置くため沢山必要になる。

5月3日水曜日
暖かい晴天。息子の彼女が加わり4人で2段積む。間に瓦を入れて行く。
重みで土がふくらむし、間の土の水分の関係で1日2段が基準となる。
高さが出来てやりがいを実感。雨が降りそうなのでビニールシートを購入し養生。

      

5月4日木曜日
主人が一人で1段積む。他の者はお休み。
昼から親戚の山へ筍堀に。

strong>5月5日金曜日
朝から土まんじゅう作り。4人で2段積み60cmほどになる。
次の作業の為に土をこねておく。ゴールデンウイークも最後。土塀造りの毎日でした。
夜、皆でバーベキューをする。まだ,火が恋しい気温。
少しずつ高くなる塀を眺め、感動しつつ、楽しい気分に。やってよかった!

  

5月21日 日曜
連休からの雨つづきで今日は久しぶりの作業。息子と3人で午後から。
2段積む。次のための土まんじゅう作り。塀の両端を少し砕いて傾きを調整する。
既存の土塀は厚み15cm四方27㎝のブロック状の土まんじゅうを積んでいたことが判明。

     

      
既存の土塀の土まんじゅう

5月28日 日曜日 
弱い部分を崩していくと両端が広がり9m近い長さになる。
一段に土まんじゅう100個必要。東側(隣地側)の塗りを調整する。
土まんじゅうは全て使い切ったので土の準備をする。小山がかなり低くなってきた。
瓦のかけらを土に入れる。後30cmで屋根を葺ける高さに。
次回からは長さが倍増。急激に乾燥させないためにシートを掛けておく。



5月29日 月曜日
3時~4時 土まんじゅうづくり。117個

5月31日 水曜日 
5時~7時 土まんじゅうづくり 100個

6月4日日曜  晴天 2人で
良く付くように接着面を水で濡らし、どろどろの土の上に土まんじゅうを置いていく。
土まんじゅうも乾いていたのでバケツの水をくぐらせておく。
長さが倍ほどになったので大変。
真っ直ぐかどうか調整してから上に土を置き、均した上に瓦を載せ、土を置いて、
均して、土まんじゅうを置いて、土を置いて均す。2段積む。高さが1.2mになる。
廻りの土を落とし次の作業の為の土作り。藁、瓦の破片などを入れる。
土まんじゅう240個を2回に分けて作っておく。土まんじゅう造りは無心になる、
楽しくもある、子供の頃に戻るのか、体の中に組み込まれた何かが共鳴する感じ。

 

6月10日   団子作り120個夕方から

6月13日 午前中土団子120個作る

6月24日土曜日
 梅雨に入り雨の日が多かったことと、作業担当の主人が6月4日の作業後
右手がしびれ調子が悪いので作業を控えていたが息子も帰っているし、
梅雨の晴れ間なので「やらないの?」を繰り返しているとやることに。
土塀づくりは少なくとも3人は必要だと感じる。
作り置きの土団子200個使用して2段積みやっと土塀の部分は完成。1、35mとなる。
あとは屋根を付かなければならない。まだまだ、大変である。
屋根工事は専門の方にお願いするのかと思いきや主人が担当することに。
仕事柄現場ではよく見ているが実際施工となるとどうなのか?




8月1日(火曜日)
 長い梅雨で雨が降り続き、ヤット夏らしい天候になった。
各地で水害もあり雨の日本といった感じだ。
土こね場には草が生えかけている。先週の後半からセミもうるさいく鳴きだした。
それで、中断していた工事を進めることに。
今日は、測量をして図面を起こし、瓦の準備をした。
瓦は古い家にはいっぱいあるが揃ったサイズを探すのは難しい。
垂れ付き瓦40枚 普通の平瓦40枚(東側)棟の丸瓦120枚を古い瓦の中から選別。
水洗いする。長さは8.8mで南の補修の部分も含めて12mになる。

8月3日土塀の瓦を洗う4時~7時
熨斗瓦 水洗い 160枚 
屋根の下地の木材をホームセンターで購入
屋根部分の図面作成
 
 
   
 
  土塀は 壊れる時に内側に倒れるよう隣地側が傾斜している
 図面道理には行かないので現場調整を繰り返しながら進める 


猛暑の為、夏場は作業中断


9月18日火曜日
土塀南側ふくらみ部分の調整
やっと涼しくなったが今日も日中は30度を越える暑さ。残暑が厳しい。

10月1日日曜日 
 屋根部分の木下地をつくる。8mを2分し 2ピース作る。
 土塀を掘り込みセットしてみる。

      


10月9日月曜日  1時から5時
屋根の木下地を作る、割竹にワラ縄を巻きつける。
 瓦を止める銅線をつける。
 設置しレベルで高さ調整 
 壁土を載せ固定させる。

10月15日日曜日
土塀の屋根の下地づくり 3人で。

10月29日(日曜日) 晴天 1時~5時
土との接着を良くする為、土台の木部の竹にワラを巻き付ける。
瓦に穴を空け銅線で止める。
隣地側から垂の付いていない瓦を葺き始める。(垂れ付きが不足の為)
こねた土を置き、勾配、出を確認しながら丁寧に作業を進める。



 
10月31日 火曜日  晴天 
内側の瓦を積む。内側は垂付きの瓦。


11月3日 金曜日  
熨斗かわらと丸瓦を積む。  東側の調整

11月5日 日曜日  
既存の南側の土塀の瓦を直し同じ高さに調整する。
ほぼ完成 ! 後片付け


 
5月から開始しやっと完成。庭がビシット引き締まりました。
軒裏を塗りこまなければならないがこれは次に廻すことに。
今まであったような顔をしているが大変でした。
土塀の持つ味は人の手と、素材の温かみが加わつてこそ出るもので、
どっしりとした風格は年月で一層深まるだろう。
私たちは最後に造った年月日と全員の名前を板に記し屋根の部分に納めました。
何年か先に壊れた時に誰かが発見して私たちの事を知ることになると思うと、
わくわくして来ます。あと100年後に?

家の周辺を囲う土塀はさまざまな姿をしています。今にも倒れそうなのも、、、。
この土塀も加わりこれからもこの家の住人の日常を見守りつづけることだろう。

                   
敷地南西側 (玄関側) 

    
敷地西側の内                            外  
 
         北側外  土塀と柿の木は大和の風景

     
 門屋の土塀                        北側の内から


      
     壊れた土塀の健在な頃の写真が見つかりました。
    子供達の入園式や入学式の日の写真もこの場所で撮られていました。        
   
    また、土塀の前は花壇にしていろんな花を咲かせようと思います。